シンガポール政府は今後5年間で32億シンガポールドルを先端製造技術分野に投資する。シンガポール経済開発庁(以下EDB)では、とくにインダストリアル(産業用)IoTに重点を置き、日本企業の同国におけるビジネスをこれまで以上にサポートしていく。
時代の流れを読む力はピカイチ
国民一人当たりのGDPが日本よりも高いシンガポール。金融センターや観光都市、国際貿易港のイメージが強い一方、国の高度成長を支えたのは製造業だ。GDPに占める割合は約20%と現在も高い。かつて労働集約型だった製造業を、資本集約型、テクノロジー集約型、知識集約型へ進化させ、時代が求めるニーズに的確に適応してきた。
数年前からホットワードになっている「IoT」(Internet of Things、モノのインターネット)は、ITによる見える化・自動化によって従来のものづくり分野に生産の効率化をもたらし、「第4の産業革命」を起こしつつある。製造業ではドイツとアメリカが一歩リードしている状況だ。シンガポールも産業用IoT、付加製造、ロボット工学などが含まれる先進製造分野を、ますます発展する重要な成長産業と位置づける。