【後を絶たない火災事故】エアゾールスプレーに求めるのは「価格より安全」 ハネウェルの調査で明らかに

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   われわれの身の回りにはエアゾールスプレー製品があふれている。指で押すだけで噴射でき、道具がいらず、手もあまり汚れない。塗料、殺虫剤、ヘアスプレー、制汗消臭剤などはエアゾールが普及に一役買ったといえる。一方で国民生活センターには破裂や爆発、引火といった危険・危害情報が絶えず寄せられている。

   電子制御システムや自動化機器を製造販売し、エアゾールスプレーの技術も有するアメリカのHoneywellの日本法人ハネウェルジャパンは2017年5月15日、エアゾールスプレーに対する安全性への認識と利用状況に関して、調査結果を発表した。

   回答者の67%がエアゾール製品の安全性について気にかけていること、また過半数が火事や毒性、中毒といった不適切な利用による事故について「聞いたことがある」または「経験したことがある」と答えたことなどが明らかになった。

  • エアゾールスプレー
    エアゾールスプレー
  • 図表1
    図表1
  • 図表2
    図表2
  • 図表3
    図表3
  • エアゾールスプレー
  • 図表1
  • 図表2
  • 図表3

スプレーの噴射剤の多くはいまだ可燃性

   この調査は、16年12月28日から17年1月5日までの9日間、全国の21歳~59歳の800人を対象に行われた。

   問い「エアゾールスプレー製品を使う上で最も気になること」で最も得票率が高かったのは「火災」で25.9%だった、以下、「オゾン層破壊」が21.3%、「毒性・中毒」が17.3%と続いた(図表1)。

   設問「エアゾーススプレー製品の安全性についての認識」においては、以下の3項目について「聞いたことがある」または「経験したことがある」と答えた人の割合は、以下の通りだった(図表2)。

  • 「火災」...64.9%
  • 「毒性・中毒」...50.7%
  • 「VOC(揮発性有機化合物)による呼吸困難、めまい、吐き気」...44.1%

   スプレー缶の中身は、目的成分とそれを溶かすための溶剤、そして噴射剤で構成される。かつては不燃性のフロンガスが使用されてきたが、地球のオゾン層を破壊するという理由から、現在は代替品が使われている。一部に不燃性の炭酸ガスや窒素ガスが用いられているが、主流は可燃性のLPガスやDME(ジメチルエーテル)だ。

   国民生活センターが06年に公表し、14年に更新した「スプレー缶製品の使用上の安全性」では、業界への要望の1つとして、

「引火が起こりにくい安全な成分を使用し、破裂や爆発がより起こりにくい商品設計を望む」

と書かれているのだが――。

   この考えは消費者も変わらない。「エアゾールスプレーを購入する際に重要な要素」について尋ねたところ、「安全に使える」を最も重視する人は86.9%に達した(図表3)。

   ハネウェルジャパンのアドバンスド・マテリアル事業部部門長の瀧瀬勝之さんは、次のように調査結果を分析する。

「スプレー缶の内容物を放出するためには噴射剤が必要ですが、日本で販売されている多くのエアゾールスプレー製品には可燃性の噴射剤が使われています。そのため、不適切に保管あるいは使用することにより、エアゾールスプレーによる火事が生じています。過半数の回答者は月に4-5 回以上と頻繁にエアゾール製品を利用しており、だからこそエアゾール製品の購入にあたって安全性が最も重要なポイントだと考えるのでしょう」

   ところで同社の「ソルスティス  エアゾール用噴射剤(HFO-1234ze)」は、オゾン破壊係数がゼロで、地球温暖化係数も非常に低い製品だ。日本以外のアメリカ、欧州、その他アジア諸国の燃焼性区分では「不燃性ガス」に分類されており、とくに欧州やアメリカにおいては燃焼性が問題となるような特殊工業用途にも採用され始めているという。日本では昨年11月にその低い燃焼性と高い環境性が認められ、経済産業省に「特定不活性ガス」と認定されている。

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