【実験しました】アイス「パキシエル」はなぜヒットしているのか? 秘密はあの「パキッ音」にあった

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   「音まで美味しい、濃厚チョコ。」がキャッチフレーズの「パキシエル」(森永製菓)は、分厚いチョコレートでアイスを包んだチョコアイスバーだ。同社独自の製法により実現した厚さ7mmの先端チョコは、まるで板チョコを食べているかのような歯ごたえと音。

   毎日のように新製品が投入される菓子業界にあって、2013年の発売から4年で約3倍も売り上げを伸ばしている(同社調べ)。

   自慢の音について森永製菓は、17年5月9日のアイスの日に驚くべき発表を行った。先端チョコが生み出す「パキッ」音は爽快さと心地よさがあり、沖縄の波の音に近く、しかもリラックス効果がある――という分析結果が出たというのだ。

  • 森永製菓の「パキシエル」
    森永製菓の「パキシエル」
  • 実験Aの測定結果を視覚化したもの
    実験Aの測定結果を視覚化したもの
  • 「パキシエル」の「パキッ」音のポジション
    「パキシエル」の「パキッ」音のポジション
  • 実験Bの測定風景
    実験Bの測定風景
  • 実験Bによって得られた「被験者のミッドα波の推移」
    実験Bによって得られた「被験者のミッドα波の推移」
  • 実験に使用された測定機器
    実験に使用された測定機器
  • 実験に使用された測定機器
    実験に使用された測定機器
  • 記者が食べた「パキシエル」
    記者が食べた「パキシエル」
  • 外側のコーティングはまさにチョコ
    外側のコーティングはまさにチョコ
  • 森永製菓の「パキシエル」
  • 実験Aの測定結果を視覚化したもの
  • 「パキシエル」の「パキッ」音のポジション
  • 実験Bの測定風景
  • 実験Bによって得られた「被験者のミッドα波の推移」
  • 実験に使用された測定機器
  • 実験に使用された測定機器
  • 記者が食べた「パキシエル」
  • 外側のコーティングはまさにチョコ

爽快感は「ゴルフのショット音」並み

   そもそもの発端は、「パキシエル」を食べた人にしか聞こえない「パキッ」音について、「ハマる」「クセになる」という声がSNSを中心に広まったこと。それらの意見に反応した森永製菓は、日本音響研究所に依頼して音の秘密を探ることにした。

   実験は次の2つの方法により行われた。実験Aは音色分析と周波数分析によって「パキッ」音がどのような特性をもっているのか、実験Bは30代~40代女性8人に「パキッ」音を聞かせて脳波がどのように変化するのか、それぞれ測定機器を使って調べた。

   実験を請け負った日本音響研究所は、刑事・民事事件の声紋鑑定などの音声鑑定を行う一方、02年に犬語翻訳装置「バウリンガル」をタカラトミーと共同開発したことで知られる。同年のイグノーベル平和賞に輝き、またアメリカTIMES誌は「最も優れた発明品」に選出した。日本が世界に誇る音のプロが出した分析結果は――。

(1)厚さ7mmの先端チョコが生み出す「パキッ」音は、バラエティ豊かな音色である
(2)「パキッ」音は癒しを感じる、沖縄の波の音と同じカテゴリーに属する爽快さと心地よさを併せもつ音である
(3)「パキッ」音には、ミッドα波を増加させ、リラックス効果がある

   実験Aのレポートによると、「パキシエル」を一口食べるだけで、短時間に何回も音が発生し、しかもそれぞれが異なる周波数をピークに持つ、異なる音色であることが分かった。さらに同研究所が収録した30種類以上のサンプリング音から「パキッ」音に最も近いものを探したところ、爽快感は「ゴルフのショット音」並み、心地よさは「沖縄の波の音」と同等以上だった。

   実験Bのレポートは、「パキッ」音を聞く前と後の被験者の脳波を比較したところ、8人中7人にリラックス状態を表す「ミッドα波」の増加が見られたと報告している。ミッドα波とは、緊張感のないリラックスした状態で、意識が集中しており、頭がさえているときに優位に出る脳波。能力発揮に最もふさわしい状態の脳波といわれる。

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