J1・浦和レッズのDF森脇良太が、鹿島アントラーズとの試合中に暴言を吐いた騒動を受け、Jリーグから公式戦2試合出場停止処分を科された。しかし、肝心な部分は曖昧なままだ。
鹿島MF小笠原満男は、鹿島のブラジル人MFレオシルバに対して森脇が人種差別的な発言をしたと述べていた。一方、森脇は小笠原に対しての発言であって差別の意図はないと主張し、食い違った。森脇は「誰に」「何を」言ったのか。
最後まで小笠原は主審に何かを訴えていた
浦和と鹿島の試合は2017年5月4日に行われ、後半33分に事は起きた。浦和の左CKフラッグ付近でボールをキープしたMF土居聖真に、浦和のDF槙野智章とFW興梠慎三がプレス。ファールの笛が鳴り、興梠が土居を突きとばすと、両チーム計10人ほどの選手が駆け寄って騒動になった。この中に森脇、小笠原、レオシルバもいた。
スタジアムで生観戦した複数の客が、その様子をビデオに収めてユーチューブやツイッターにアップしている。小笠原が主審に何かを主張する傍らで、レオシルバは相対していた森脇に突然詰め寄った。そこで小笠原も森脇の方に向かおうとしたが、他の選手らが間に入って2人を引きはがした。それでも小笠原は森脇に向かっていこうとした。他の選手がポジションに戻り始めても、小笠原は主審に何かを訴え続けていた。言葉までは確認できない。
試合後にJリーグ規律委員会は7日、小笠原と森脇を聴取。小笠原は、森脇がレオシルバに「くせえな、お前」と「差別と捉えられてもおかしくない」発言をしたと主張した。一方で、森脇は小笠原に対して「口が臭いんだよ」と言ったとして「誰かを侮辱したことは一度もない」と主張。発言の事実は認めたものの、相手が違い、レオシルバへの差別を否定した。2人の話は食い違った。
森脇「結果的にレオシルバ選手にも」不快な思いをさせてしまった
その後、Jリーグは公式サイトで9日、森脇に対して14日のJ1第11節アルビレックス新潟戦と20日の同第12節清水エスパルス戦の2試合を出場停止にすると発表。しかし、理由については、日本サッカー協会(JFA)の競技および競技会における懲罰基準に照らして審議した結果「同(森脇)選手の行為は、『他の競技者、その他の競技に立ち会っている人々に対する侮辱』に相当すると判断」とだけ指摘し、具体的に誰に何を言ったかの判断は示されなかった。
直後に浦和公式サイトで発表した森脇のコメントでも「試合の中で熱くなっていた中で、小笠原選手にも不快な思いをさせてしまいましたし、結果的にレオ シルバ選手にも同様の思いをさせてしまいました」と、レオシルバへ向けた暴言ではないと取れる一節があった。その上で、両選手に「本当に申し訳なく思っていますし、今後、二度とこうした行動はしないようにしていきます」とし、あわせて両チームのサポーターに謝罪した。
事実が明かされないまま、騒動は終局を迎えるのか。