キメたいときの次の行動
火がついたエリコさんの心をさらに燃え立たせたのは、「重い鉢植えでも大丈夫ですよ。ぼくが車で運びますから」という言葉。
えっ?とゆーことは、A君が部屋に来てくれる? もしかしたら一緒にお茶を飲んでいい雰囲気になって、そのまま・・ということもありえる!
こうなったら自宅で勝負をかけるしかない!
一念発起したエリコさんは、週末、ゴミ部屋をすごい勢いで片付けまくり、なんと70リットルのゴミ袋を20個近くゴミ収集場へ! 数年分のゴミとホコリを怒涛の勢いで清めるパワーの源は、「汚ギャルの巣をA君との愛の巣に変える!」というひたむきな恋心。
通販で買った可愛いクッションやカーテンもつけて、キッチンやダイニングはA君と宅デートできるミニカフェ仕様に。そしてA君のいる園芸店に出かけ、絶対に自分では持ち帰れない大きな観葉植物の鉢植えを注文、次の週末、A君に届けてもらえることになった。
作戦は見事成功!
「部屋にいい香りのアロマを炊いたり、気合いいれたナチュラル風のメイクや体の線が出るセクシーなワンピースを着て、準備万端で待ってました。A君が配達にきたら、てきぱきコーヒーを入れて、お礼だからって焼きたてのパンケーキとかも出しちゃってぶりぶりしまくり」
その日はまだ配達が残っていたので、30分話しただけ。でも、A君の好意で次の週もメンテに来てくれることになり、エリコさんの心はまたしても空高く舞い上がった。
「次こそ絶対キメないと。お世話になってるお礼に夕食をごちそうしたいから、配達、全部終ってから来てください、と念押ししました」
それから1週間は店のブログをリサーチして、A君の身辺調査にいそしむ。年は31歳。植物の知識はさすがのプロで人望もあり、後輩スタッフにはガッツリ頼られている。園芸ショップの店員はほとんどが女性だから、A君のような人望あるイケメンは絶対モテるはず。
しかも女性客のウケはかなり良くて、何人もの女性客から名指しでお礼や「また行きます!」コメントが!
ヤバい。A君を狙っているのは私だけじゃない?
焦ったエリコさんは翌週、メンテにたずねて来たA君に鍋をごちそうしながら、「いつも一緒に夕食を食べられれば楽しいのに」とさりげなく告白。するとA君は「ほんとに食べに来ていいの?」とうれしそう。両思い成立?と舞い上がっていると、「女の人に手作り料理ごちそうになるのって生まれて初めて」
聞けば大学時代から家賃を浮かすため、ずっと同性の友達とのシェアライフで、食事もコンビニ飯ばかりなのだという。しかもダイニングに友人が寝ているため、彼女を呼ぶのはほぼ不可能とか。
この耳よりな新事実を有効活用すべく、エリコさんは「実は私もシェアってしてみたかったの。何かと心強いし2人の方が楽しいし! この部屋なら2人住めるからよかったらシェアしない?」
盛り上がった2人は、その夜、友達以上の関係に。