2日間のコンサートについて語ったこと
2日間のコンサートについて彼はこう切り出した。
「今日は、世界中に数千万人という難民支援のチャリティーコンサートですが、みなさん十分に大人ですし、ニュースやインターネットでご存じでしょうから、敢えてそのことを話そうとは思ってません」
その後には、手短にこんな話が続いた。
今、世界を見るとこんな風に音楽を楽しめる平和な空間が奇跡に思えること。この平和は父母や祖父母の犠牲の上にあること。それはこの国だけじゃなくて、隣の国や地球の反対側の犠牲の上に成り立っていること。そのことに感謝しながら音楽を続けたいと思うこと――。
シリアやイラク、今、起きていることを語るよりも音楽に集中する。気心の知れたトップミュージシャンといつにも増しての熱演が続いた。
それは、今を慈しむような時間でもあった。
世界は激しく変わろうとしている。
今、音楽に出来る事――。
日本のポップ・ミュージックの良心を見たような夜だった。 (タケ)