「医者は絶対NGなんです」
なんとか、病院にいる間に、A子先生にとって患者以上の存在にならなければ!そのためにはまずデート!耕司さんはナースに週末の外出について聞いてみた。意外なことに、自分の症状なら外出許可をとれば問題ないという。
入院中も外出できる!好きな店に行ける!
目からウロコの新事実に高鳴らせ、早速、A子先生にこう持ちかけた。
「病院の食事って体にはいいと思うんですけど、どうしても食欲がわかなくて。週末、外でメシを食ってもいいですか?」
OKをもらったところですかさず、「今後の相談もありますし、日ごろ、お世話になっているお礼に、ごちそうさせてください」と、近くの有名なソバ屋の名前をあげる。ここまでくると、耕司さんの恋心はA子先生にも悟られてしまうかも。ドキドキしながら答えを待っていると、にこっと微笑んで「あの店、私も時々行くんですよ。ぜひ」
当日、耕司さんは、医者としての指南を聞きながら、さりげなく一番気になっていたA子先生のプライベート事情をリサーチ。童顔に見えるが、何と耕司さんと同い年だという!
「A子先生、美人だし病院でもすごくモテるでしょ?医者同士の結婚って多いですよね?」
ところが、ここで返ってきた答えに、耕司さんは死ぬほど驚いた。
「私は医者を結婚相手としては考えられません。絶対NGなんです」
えーっ?世間では理想の結婚相手No.1なのになんで?
「若い医者の中には、病院の各階のナースを全部制覇した!と自慢するような酷い遊び人も結構いるんですよ。ナースにとって医者は上司だし、それにもし結婚できるなら、と思ってしまうから、やはり誘われれば断りにくいし。そういう同業者たちを見てしまうと、もうムリかなって・・・。もちろんマジメな人もたくさんいるけど、そういう人はむしろ早々に結婚してしまうし」
そうだったのかあー!じゃあ自分のようなジミで収入が低いヤツでもなんとかなるかも!と勢いづいた耕司さんは、医者コンプレックスを克服してA子先生とLINEのアカウントを交換。そしてひんぱんに連絡しあうようになる。