マイホームを購入した直後、直後に遠方への転勤を命じられた――。社会人なら聞いたことのある都市伝説だ。春や秋は転勤シーズン。
2017年3月下旬のツイッターには
「家を買うと転勤させやすくなると聞いた」
「家買って一ヶ月、子供が産まれた月に地方へ転勤になった人がいたなぁ...」
「我が家で実際にあった話だから妙な説得力がある」
といったつぶやきが相次いで投稿された。
不動産関連の比較査定サイト「スマイスター」を運営するシースタイル(東京都中央区)は、「『家を買うと転勤になる』という都市伝説の信憑性」をテーマにアンケートを実施し、17年4月11日に結果を発表した。
転勤経験者は全体の33.7%を占め、その半数が転勤前に「住宅購入経験あり」と回答。そして全体の3人に1人が「家を買うと転勤になると思う」と答えたことが明らかになった。
持ち家がある転勤経験者の4割「購入後まもなく辞令」
アンケートは、17年3月2日~4月6日の36日間、「スマイスター」を利用したことのある20代以上の男女582人を対象にインターネットで実施された。
最初に「転勤経験の有無」を聞いたところ、「ある」「自分ではないが配偶者(パートナー)にある」は196人(33.7%)だった。
その196人に「転勤前の居住状態」をたずねたところ、「持ち家(集合住宅)」と「持ち家(戸建て)」の合計は100人(51.0%)で、「賃貸(マンション・アパート・戸建て)」「社宅・官舎」「実家」の合計を上回った。
さらに「その住宅は、転勤時の何年前に購入したか?」と持ち家の100人に聞いたところ、「1年未満」が14.0%、「1~3年」が26.0%と、不動産購入者の実に4割が「3年以内」に転勤していることが判明した。
ローンを組んで買った新築に住めないなんて...
4つめの問いは「『家を購入すると転勤になる』という都市伝説についてどう思うか」。全回答者の582人に尋ねたところ、「そう思う(当たっている)」が11.9%、「やや思う」が20.4%、「やや思わない」が14.1%、「そう思わない」が53.6%と、この都市伝説に同感する人はおよそ3分の1を占めた。
同じ質問を住宅購入後3年以内の転勤経験者に聞いた。「そう思う(当たっている)」が37.5%、「やや思う」が25.0%と、6割以上が「住宅の購入と転勤に因果関係がある」と感じているようだ。
ビジネスパーソンが「マイホームを買おうかな」と考える年齢は、勤務先にとっても別の環境で経験を積んで、ステップアップしてもらいたい時期でもある。転職したところで転勤がないとは限らない。出世したい人にとって避けて通れない試練なのかも。
見方を変えれば、大半の社会人は住宅ローンを組んで不動産を購入することを考えると、もはや簡単に会社を変わることはできない。会社側がそこまで深読みして人事異動を発令しているとしたら――。
アンケート結果には、回答者から寄せられた、悲喜こもごものコメントが紹介されている。
「ママ友が2人転勤になり、住宅を売却し、遠方に転居しました」
「私もマンション購入後1週間で転勤になり、周りからもそのような話を聞いた」
「上司が新築後数ヶ月で隣県に支店長として栄転しました」
「友人が新築直後に転勤になり、出来立ての我が家に住むことなく、単身赴任しています」
「社宅住まいの息子が、住宅地に新築しましたが、5年も住まないうちに転勤になりました」