厩務員と馬の笑いと涙の物語
世界でも初めてではないか、というのはコミック『サラブレッドと暮らしています。』(著・田村正一、白泉社、648円)のことだ。現役の厩務員(きゅうむいん)自身が競馬コミックを描くとは珍しい。その著者は田村正一さんで、兵庫県尼崎市の園田競馬場で働いている。
厩務員とは馬の世話をすること。馬のいる厩舎の2階に住んでいるので、職場はほんの10秒。朝早く起きて食事や厩舎の掃除、風呂や散歩、運動など面倒をみる。馬の性格にもいろいろあり、乗ろうとまたがっても、「小内刈りでくずしてからの背負い投げ的な連続技」を仕掛けてくる暴れ者もいた。落馬したり蹴られたりすることもある。それでもレースに勝てば、わが子のことのようにうれしい。
好きだからこその仕事。笑いあり涙ありのリアルな物語だ。