ブリューゲル「バベルの塔」展、4月18日から 「目玉作品」+「好事家向け」、ダブルで楽しむ

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神と悪魔が同居

ヒエロニムス・ボス	「聖クリストフォロス」	1500年頃©Museum BVB, Rotterdam, the Netherlands (Koenigs Collection)
ヒエロニムス・ボス 「聖クリストフォロス」 1500年頃©Museum BVB, Rotterdam, the Netherlands (Koenigs Collection)

   一方、好事家向けで話題なのは、ヒエロニムス・ボス(1450ごろ~1516ごろ)の作品。やはりネーデルラントの画家。かつては「ボッシュ」と呼ばれたが、最近は「ボス」で通っている。知る人ぞ知る画家だが、ブリューゲルほど有名ではない。

   幻想と怪奇が入り混じった「ちょっと気持ち悪い」作品が多い。人間の深層心理に迫ったかのような特異な画風は、のちの時代のシュールレアリストや、精神病理学者らにも注目されてきた。

   日本では1970年に出版された平凡社の『ファブリ世界名画集』の第8分冊に登場。作品が大判画面でまとまった形で作品が紹介された。解説は当時気鋭の美術評論家・東野芳明氏だった。

   72年には高名な美術評論家・坂崎乙郎氏が『イメージの狩人』(新潮選書)の巻頭で取り上げ、扉絵に彼の作品を並べた。坂崎氏はこう書いている。

「私たちはボッシュの前にも後にもこれだけの才覚を発見できない」
「彼の画面ではつねに神と悪魔が同居」
「無意識のうちにシュールレアリズムを先取り」
「ボッシュのユニークな点は、人生をむなしいと達観しつつなお限りなく人間をいとおしんだ姿勢」

   現在、残っている作品は約25点。没後500年を記念して2016年、マドリードなどで大規模な回顧展が開かれ、世界中から美術関係者が押し寄せた。今回初めて来日するのは「聖クリストフォロス」と「放浪者(行商人)」、それにボスに基づくとされる追随者の作品「聖アントニウスの誘惑」などだが、日本でボスを知る貴重な機会となりそうだ。

   展覧会は7月2日まで。16世紀ネーデルラントの絵画、版画、彫刻など約90点が出品される。そのあと7月18日から10月15日まで大阪・国立国際美術館に巡回する。

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