第4回WBC準決勝のアメリカ戦。予選段階で打線好調だった侍ジャパンは4安打1得点と突然貧打に泣き、1対2で敗れた。
敗戦の理由はさまざま挙げられているが、日本ではなじみが少ない「ツーシーム」が原因ではないか、とする見方が強い。アメリカはこの試合、7人の投手をつぎ込んだが先発のロアーク含む4人は「ストレート」を1球も投げなかった。
ダルビッシュ投手も多用している
「ツーシーム」とは、ストレート(=フォーシーム)の一種。両方とも握るときの手の形はほとんど同じだが、ボールの進行方向に対してボールの縫い目が2本通るのがツーシーム、4本がフォーシーム。球速はほぼ変わらないものの、ツーシームの場合は、空気抵抗の受け方が違う関係で、打者の手前で沈んだり、シュート方向に曲がったりする。バットの芯を外して打者を打ち取るのに有効な球種で、「癖球」や「動くボール」とも呼ばれる。
日本ではフォーシームが主流だが、メジャーリーグではフォーシームに強い選手が多いため「ツーシーム」を使う投手が多い。ダルビッシュ有投手も、メジャー挑戦後は「ツーシーム」主体の投球にスイッチした。
最近は、日本のプロ野球でも持ち球に加える選手が増えてきている。引退した広島の黒田投手が帰国してから有名になった左打者への「フロントドア」、右打者への「バックドア」はツーシーム。さらにDeNAベイスターズの山崎康晃は、シュートの軌道から鋭く落ちるツーシームを武器にプロ1年目からクローザーとして活躍。「ハンカチ王子」こと日本ハムの斎藤佑樹も、ツーシームの習得を目指し今オフに磨きをかけている。