【スポメディア・ウォッチ】
野球解説者の野村克也は2017年3月23日付のサンケイスポーツ紙面で、WBC準決勝で敗れた日本代表の戦いを振り返った。
全試合でスタメンマスクを被った小林誠司捕手(巨人)がそこで、大先輩から愛のムチを受けた。
バッテリーは直球押しだったが...
野村は準決勝アメリカ戦の8回表をやり玉に挙げた。7、8回と投げた千賀滉大投手(ソフトバンク)は、150キロ超の直球と一級品のフォークを持っていた。野村は「ストレートで追い込み、フォークで三振を奪う。どの捕手でも、そういう配球をしたくなることだろう」とした上で、「そんな思惑にとらわれすぎてはいけない」と苦言を呈する。
「フォークを早い段階で見せて、フォークを意識させ、他の球種も生かす。その発想もあってしかるべきだ」
野村が言う通り、千賀は8人の打者と対戦し、そのうち7人の初球に直球を投げている。フォークを投げたのは、ボールカウント1‐2からが4度、1‐1からが1度のみ。直球に時折スライダーを織り交ぜ、最後はフォークで締めるという攻めに凝り固まった結果、1番・キンズラーに3球目のスライダーを叩かれ1死2、3塁のピンチを招き、2番・ジョーンズには初球の直球を狙われて決勝点を許した。
野村は
「1死2、3塁のピンチで最も求められるアウトの取り方は、三振である。初球からでもフォークを投げるべきだろう」
と指摘。千賀のフォークがマークされていると考えたバッテリーが、裏をかいて直球で押した可能性もあるとはいえ、
「外国人は基本的に『来た球を打つ』。早いカウントで裏をかいたつもりが、『表』と化してしまうのだ」
と駄目出しした。