WBC日本代表「侍ジャパン」のエースが、ノックアウトを食らった。
負ければ決勝トーナメント進出の雲行きが怪しくなる2017年3月14日のキューバ戦。先発に指名された菅野智之(巨人)は、強化試合で4回2安打無失点に抑え、1次ラウンドのオーストラリア戦で4回1/3を1失点にまとめるなど、抜群の安定感を誇っていたが、強力キューバ打線に4回7安打4失点と打ち崩された。
優勝した06、09年大会と比べると...
「これがWBCのプレッシャー。四球を出したくないから、ストライクを投げすぎてしまった」
サンケイスポーツ15日付によると、権藤投手コーチは試合後に菅野のピッチングをそう振り返った。
菅野は生命線のスライダーで6三振を奪った一方、2回無死1塁で5番・グラシアルに2ランを浴びた。侍打線が同点に追いついた直後の4回表には、4安打を打たれて勝ち越しを許した。4回までに球数制限に迫る74球を投げ、無念の降板。「ステージが上がるごとに、対戦相手のレベルも上がる」と、国際大会の難しさを痛感させられた。
1次ラウンド初戦で先発好投した石川歩(ロッテ)も2次ラウンド初戦のオランダ戦では3回5失点で、力の差を感じたと語った。
日本が優勝した2006年には全盛期の松坂大輔、上原浩治、渡辺俊介が3本柱。連覇した2009年には松坂、ダルビッシュ有、前年に21勝をあげた岩隈久志だった。
ところが、今回は大黒柱のはずだった大谷翔平がケガで欠場。エース格は菅野、石川だが、二人とも2次ラウンドで相手の力の壁を感じている。
2次ラウンドを勝ち抜いて、決勝ラウンドへ進むと中米国を中心にさらに相手は強くなる。いまのところ、好調な打線に支えられているが、本来の「投手力を中心とする守りの野球」(小久保監督)に不安が増しているのは間違いない。