「国にとって意味のある業務」と認められた
――Tranzaxは2016年7月、金融庁に電子債権記録機関に指定されました。電子債権記録機関の役割は何ですか。ベンチャー企業では過去に事例がありませんので、御社ならではの取り組みもお聞かせ願えますか。
電子記録債権は、株式や社債などは、会社が発行受付すれば出せるのですが、電子記録債権は国が指定した電子債権記録機関で所定の手続きを取らないと、発生も譲渡も消滅もできません。
株は、お互いに了解すれば、何でも譲渡できるのですが、電子記録債権の場合、当事者間の合意だけでは譲渡もできない。必ず電子債権記録機関で手続きしなければなりません。
国の許認可にはいくつかレベルがありますが、指定機関に対する審査はとても厳格です。指定機関の業務は何をやっているのかというと、実は誰でもできることを業務としています。我々がやっているのも、商取引を記録しているだけです。やっていること自体は、誰でもできることですが、指定機関が決定的に違うのは、特別な法律効果をもたらすことです。他社が商取引を記録しても、ただのデータですが、弊社のデータセンターに入れると電子債権になります。本来は国のやる業務を、国の業務委託に近い感じで受託しています。
ですから、2段構えの厳しさがあります。1つはちゃんと運営できるか。法律の要件に基づいてやっているかを、免許と同じような審査で試されます。ただ、免許より大変なのは、それを乗り越えても、国にとって意味のある業務なのかが問われます。そのため、ハードルが非常に高い。政府関係機関と何年間にもわたって色んなところで勉強会をして、我々のやることに社会的に意義があるとご理解いただいて、やっと指定していただきました。