世界最大規模のマーケット
築地市場のルーツは江戸時代に遡るが、中央卸売市場として開設されたのは1935年(昭和10年)。東京の台所を支え、日本とともに発展し、今や世界最大規模のマーケットに成長、外国からも見学にやってくる。
『築地』(著・テオドル・ベスター、訳・和波雅子、福岡伸一、木楽舎、4104円)は、人類学と日本研究を専門とするハーバード大学教授が17年以上かけて取材し研究した意欲的な作品だ。フィールドワークに何度も足を向け市場の人たちと顔見知りになり、「ベスター先生」と呼ばれている。
経済、流通、食文化、消費、制度など歴史と文化と社会を重層的かつダイナミックに描き、築地の全貌を明らかにした。600ページを超す分厚い1冊で、目次のタイトルは「東京の台所」「掘られた溝」「埋立地が築地市場に変わるまで」「生ものと火を通したものと」「家族企業」「取引の舞台」など、日本の特性が浮かび上がる。