企業が月末の金曜日、従業員に早めの退社を促し、買い物や旅行に時間を割くよう呼びかける取り組み「プレミアムフライデー」が2017年2月24日、初めて実施された。
衣料小売り店のGAPは同日15~18時、全国の販売店でプレミアムフライデーを記念したキャンペーン「GAP HAPPY HOUR」を行った。このキャンペーンが実施された背景にあったのは、プレミアムフライデーだけではない。既に展開中だった「Gap デニムフライデー」という取り組み、ひいては同社の企業風土の流れを受け継いでいた。
ラフな格好で出勤、3時に退勤、そのまま街へ
同社は16年10月以来、日本の労働環境で柔軟な働き方の需要が高まっている現状に鑑み、毎週金曜に「デニム」込みのカジュアルな服装で勤務する働き方「Gap デニムフライデー」に取り組んでいる。デニムやカジュアルな服で働くと、「興味度が上がり」「ストレス度が下がる」。同社のマーケティングPR担当・小神野直子さんによると、こうした傾向が脳波試験などの実証実験で判明したという。
世耕弘成・経済産業相が16年12月9日、官民挙げての消費喚起策として導入したプレミアムフライデーの目指す方向性は、GAPの職場環境づくりと重なる部分があった。小神野さんは
「仕事を終えた後、スーツで街に出ていくよりも、ラフな格好で出勤して、3時に(仕事を)終えて、そのまま街に出ていく方が、できることも増えて身軽になると思います」
と話す。同社は24日、プレミアムフライデーと「デニムフライデー」の重複に絡め、「GAP HAPPY HOUR」と題するキャンペーンを打ち出した。
全国の販売店(一部店舗やGapOutlet、The Gap Generationは対象外)では当日、定価1万円以下の「デニムボトムス」(アダルトのみ)が一律3900円に値引きされた上、購入者に先着順で、アップルタイザー社の炭酸飲料「アップルタイザー」が提供された。
さらには配送料なしで、購入物を自宅に届けるサービスも行われた(一部店舗を除く)。手荷物なしで街へ出掛け、充実した課外活動を楽しめるように、との狙いだったという。
記者は当日15時、銀座店を訪問した。ここでは「アップルタイザー」に加え、「ベスラ・ド・ベルフォン」(シャンパン)をふるまわれた。店の入り口すぐの場所で、来店した客は誰でも手に取って飲むことができた。
小神野さんによると、「ベスラ・ド・ベルフォン」を提供したのは
「まだプレミアムフライデーに加入する会社は少ないので、3時になったからといって(店に)人が増えるとは思っていない。休みの日にしかできないことを分かりやすくやり、『金曜日は楽しみたい』というムードを盛り上げたかった」
からだという。