「日本人が知らない」キプロス島の魅力 モスクと教会が「隣り合う」首都ニコシア

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「キプロスを一つに」の落書きが...

   だが、キプロス島の「再統合」に向けた和平の動きは着実に進んでいる。2005年には、両国間の往来に関する規制が大幅に緩和され、双方への行き来が島内に複数ある検問所経由で可能になった。

   そんな検問所の1つを、記者は訪れた。2008年4月に通行可能となったレドラ通り(ニコシア)にある検問所だ。実は、ニコシアは都市自体がグリーン・ラインによって南北に分断されている街だ。

レドラ通りの検問所
レドラ通りの検問所

   そんな検問所を見た、記者の第一印象は「こんなものか」というものだった。事前に想像していたような物々しい雰囲気は一切なく、検問所の南北を区切っているのは簡単なポールだけ。

   記者がギリシャ側からトルコ側へ抜けた際の手続きも、担当の職員にパスポートを提示し、簡単な質問に答えるだけだった。こうした対応は、空港の「入国手続き」に近い印象だ。実際、地元住民の中には反対側の学校や企業に勤めている人も多い。

   とはいえ、レドラ通り上のグリーン・ラインにある50メートルほどの緩衝地帯は、都市部とは大きく雰囲気が異なっていた。辺りには「撮影禁止」の看板が至る所に張り出され、建造物は軍の施設を除いて廃墟ばかり。

   そんな緩衝地帯で見つけたのが、壁に描かれた「ONE CYPRUS(キプロスを一つに)」という落書きだ。このメッセージが書かれた場所から、北側を見ればトルコの国旗があり、南側にはギリシャとキプロス共和国の国旗が掲げられていた。

「キプロスを一つに」
「キプロスを一つに」

   キプロスの再統合をめぐっては、トルコやギリシャなどの関係国の外相が参加した国連の和平会議が、スイス・ジュネーブで17年1月に開かれたばかり。その際には合意まで至らなかったものの、現在は南北の大統領がともに再統合推進派であることから、両国の再統合へ向けた動きの進展に期待が高まっている。

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