大学生の52.5パーセントが奨学金を利用
著者によると、1969年の国立大初年度納付金は1万6000円(うち授業料は年間1万2000円)。それが2016年は81万円強(うち授業料は53万円強)。物価は3倍強だから、大学に払うお金がいかに過大になったか分かる。私立大はもっと巨額になる。
毎日新聞への投書者と同じ67歳の元会社員(国立大学出身者)に聞いてみると、かつての育英会奨学金には「一般貸与」のほかに、「特別貸与」制度があった。毎月8000円貸与されるが、返済義務は3000円のみ。5000円分は実質給付だ。大学寮なら生活費2万円で暮らせたから、非常に助かったという。
「特別貸与」の奨学金は、「特に成績が優秀で,経済的な理由により就学困難な学生」が対象とうたわれていた。しかし、文科省の1969年のデータによると、貸与者は「一般」と「特別」がほぼ同数。かなり幅広く支給されていたことがわかる。この「特別貸与」は1984年の制度改正まで続いていた。
現在、日本学生支援機構(日本育英会の後身)の奨学金は、すべて貸与型。2012年には大学生の52.5パーセントが奨学金を利用している。20年前は21.2パーセントだったから急増している。大半が利子付き。月12万円まで借りられることもあり、卒業時に借金が数百万円という例は珍しくない。