平田オリザの芝居作りの基礎とは
劇作家・演出家で、劇団青年団を主宰する平田オリザ氏が芝居作りの技術を披露している。『演劇入門』(著・平田オリザ、講談社、799円)。
シェイクスピアはなぜ四世紀にわたって人気なのか? 日本で対話劇が成立しづらいのはなぜか?などを平易に解説している。
たとえば、「対話劇は可能か―私たちがいま、一般に『演劇』と呼ぶものは、西洋近代の枠組みを出発点としている。そして、この『西洋近代劇』は、対話を基盤としている。一方、日本語は、残念ながら、いまだ対話の構造を有していない。もし、単純に、この事態だけを見るならば、『すなわち日本には、近代演劇は成立しない』という3段論法が成り立つだろう。(中略)。私たちが演劇作品、とりわけ翻訳劇を観るとき、『そりゃ理屈では解るけど、日本人は、そんなに喋らないよ』と感じてしまう、その原因の大半はここにある。対話を、西洋人と同じレベルで描くこと自体に無理があるのだ(本書より)」。