前髪で役のキャラがわかる
高一まで札幌近郊の町で生まれ育った。駅まで車、電車とバス1時間半かけて高校に通う高校生には、芸能人も芸能界も遠い宇宙のできごと。「兄夫婦の応募でジュノンスーパーボーイ審査員特別賞になったものの、教室にジュノンボーイを見にきた上級生たちが、どれが本人か分からず帰っていった」。柾木が受賞するなら自分もと、翌年、母校から30人近くがジュノン・スーパーボーイに応募したと笑いをとる。
高1のデビューで上京したため、地元の友達とのふつうの青春を断念したことがかなり辛かった。それが頑張りのバネになった。本当はかなりの人見知りだが、「よし、行くぞ」とスイッチが入った時の、ツッコミまくるトークのテンションは誰にも負けない。この日の上映後のトークでも、監督や共演者への気配りフォローをしまくり、いつのまにか話をひっぱるMC担当になって会場から拍手を浴びていた。
ところで柾木の演じ分けの視覚的なキーポイントとなっているのが、前髪だ。
しょぼいエスパーの役「みんな!エスパーだよ」)では長い前髪で目が見えず、ウブな童貞くん(「ラブホの上野さん」)の時は茶髪の巻き毛でくるんと前髪をたらし、ムカつく就活生(「就活家族」)を演じるときは、ほぼオールバック。どれも別人のように顔がちがっている。
つまり柾木の前髪をみれば、役のキャラが読める、という理論が成り立つわけだが、それも彼の高い演技力があればこそ。ちなみに柾木オリジナルに一番近いのは、右目を見せない今日のヘア。「行くぞ!」スイッチ、右目に隠してる?
「恋愛ものだけはやれる自信がない。くどけない童貞役の方のほうがあってる」と言っていた柾木だが、いやいや、「Girl recruits her God」の好きな女の子を待つ男「マツメン」もがつんとハマってますよ!
この役では珍しく、爽やか高校生っぽいサラサラ前髪が風に揺れる。実力ある個性派イケメンだからこそ次々に難易度高めの役柄が続く中で、傷を抱えながらヒロインを思い続ける等身大の姿に、「ヤバい、切ない」と女性ファンの熱い視線が注がれていた。
映画「Girl recruits her God」 桜井亜美の小説「girl」英語kindle版である「Girl recruits her God」を脚本映画化したもの。LA UNDERGROUND FILM FORUM、WOMEN'S ONLY ENTERTAINMENT FILM FORUM 共にオフィシャル・セレクションに選ばれている。//thebbb.net/ 経由でネット配信。海外映画祭に出品しながら年内公開を目指す。
あらすじ 母の不倫を待つあいだ車で脱水症になり死にかけた幼いユーリ。家庭は壊れ、17歳に成長した時、車の中に住んでいた。足が不自由な高校の同級生、ケンジと、お互い心にトラウマを持つ同士、少しずつひひかれていく。だが、生活のためにサポーターを探す「神待ち」をしているユーリは、或る日、危険な相手に出会ってしまう・・・。
監督 桜井亜美
キャスト 於保佐代子 柾木玲弥 津田寛治 原史奈 合田京冬 實方由茉 吉居亜希子 二見悠 他