残酷なまでのリアルにこだわる
第4章「カネの流れの見方」(官民合わせた「地域全体」を黒字化する)では、補助金を「衰退の無限ループを生む諸悪の根源」と指弾し、「『残酷なまでのリアル』に徹底的にこだわろう」という。
第5章「組織の活かし方」(「個の力」を最大限に高める)では、きちんと「中止・撤退」も想定することが絶対必要といい、「コンサルタント」を「地方を喰いものにするひとたち」とし、丸投げを戒める。また、「定量的な議論と柔軟性」が、ありがちな馴れ合いによる失敗を防ぐために重要であることを強調する。「地方創生のリアル」は、「絶対的な成功などはなく、成功と失敗を繰り返しながら、それでも決定的な失敗はせずに、どうにか上昇気流をつくり出していく日々の取り組み」だ(8ページ)という冷徹な洞察にはうならされた。
木下氏には、他にも、18年前の自分(16歳 1982年生)に伝える本という「まちで闘う方法論~自己成長なくして、地域再生なし」(2016年5月 学芸出版社)、利益なくして再生なしと説く「稼ぐまちが地方を変える~誰も言わなかった10の鉄則」(2015年5月 NHK出版新書)、現場主義を徹底した「まちづくり:デッドライン~生きる場所を守り抜くための教科書」(広瀬郁と共著 2013年4月 日経BP社)などがあり、「クールヘッド・ウォームハート」で、リアルな地域の活性化を進めるには避けて通れないラインナップだ。
経済官庁 AK