クリスマス・キャロルをたくさん織り込む
パリの二つの教会の楽長を引き受けていたせいでしょうか、シャルパンティエは500以上ともいわれる、大変たくさんの宗教曲を残しました。その中でも1番有名なのが「真夜中のミサ」です。6つの曲からなるこのミサ曲は、降誕祭の前夜、つまりクリスマス・イヴの真夜中に行われるミサのための曲です。
そして、この曲が彼の代表作、人気作となったのは理由があります。本来、厳格なミサで演奏される曲なのですが、彼は、その中に、フランス伝統の「ノエル」・・・つまり民衆の中で、歌い継がれてきた「クリスマス・キャロル」をたくさん織り込んだのです。ありがたそうだけれどもなんだかむずかしそうな宗教曲、ではなく、古くから人々が歌ってきて、その当時も人気のあったクリスマスの歌、これらを曲の中で頻繁に聴くことができる「真夜中のミサ」は、おそらく、当時の人にとっても、思わず口ずさみたくなる曲だったはずです。先週の「きよしこの夜」のように、人々に親しまれた曲は、名曲となり、後世に語り継がれる曲となったのです。
本田聖嗣