12月23日は東京タワーの誕生日だ。開業したのは1958年(昭和33年)。戦後復興から高度経済成長の入口に入ったばかり、当時はパリのエッフェル塔より高い世界一のタワーとして日本人の誇りと希望のシンボルだった。4年前の2012年に東京スカイツリーにも追い抜かれたが、いまも観光の人気スポットで、今年のクリスマスにも大勢の人が訪れるだろう。今回はその歴史や建築技術、様々な風景写真などを紹介したい。
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時代のシンボル「333メートル」
東京タワー(東京都港区)は正式には日本電波塔である。テレビ草分けの頃、林立する電波塔を一本化したのが東京タワーだった。『東京タワー50年 戦後日本人の"熱き思い"を』(著・鮫島敦、監・日本電波塔、日本経済新聞出版社、972円)は、開業50周年の2008年に刊行されたノンフィクションである。
登場するのは、「大阪の新聞王」といわれた創設者の前田久吉、名古屋テレビ塔、通天閣、さっぽろテレビ塔など設計し「塔博士」と知られる内藤多仲、さらに世紀の大工事に取り組んだ鳶職たち――高さ333メートルのタワーにかけた人たちのドラマだ。
目次を紹介すると「職人魂が燃えた地上120メートルの離れ業」「タワー設計に秘められた塔博士のロマン」「夜空に光る東京タワー、想いを灯す使命を」など。あとがきに「皆様にとっての"時代の記憶"であり続けたい」と述べている。
どこからでも見える「私のタワー」
「さまざまな人が、それぞれの時間に、いろいろな場所から東京タワーを見ている。あなたの記憶にあるのは、どの東京タワーですか」
『東京タワーズ』(写・谷口巧、幻冬舎、1620円)は、こう問い掛ける。京都で生まれ京都で学生時代を過ごした写真家が7年間にわたり撮り続けてきた東京タワーの写真集だ。真っ青な空の上に、夜景の向こうに、高速道路の先に、東京タワーがいる。
特設サイトには「東京の寒い朝、昨日の大忘年会会場前の東京タワーです! パワーをいただき、今日も絶好調」「昭和の人間のせいか、いくつになっても東京タワーが好きですね」「東京タワーとスカイツリーが見えて、反対向いたら富士山が見えて、別方向見たら横浜が見えるここが好き」。そんなコメントが寄せられていた。
首都を守る「幸運の双塔」
鬼門(北東)に東京スカイツリー、裏鬼門(南西)に東京タワー。これは千年前に予言されていたのか、二つのタワーの隠された正体とは――。
『東京スカイツリーと東京タワー 「鬼門の塔」と「裏鬼門の塔」』(著・細野透、建築資料研究社、1728円)は、ともに首都東京を守る「幸運の双塔」になってほしいという思いを込めて執筆したという。
「東京の鬼門」をテーマに3部構成で、第1部は「首都と鬼門と『聖なる森』(鬼門とは何か、江戸の鬼門対策、鬼門と明治維新)、第2部は「丹下健三の『不思議な回り道』(世界の『タンゲ』一代記、富士山に魅せられた建築家、西郷隆盛像の大きな目、東京都庁舎を巡る『点と線』)、第3章は「東京スカイツリーと東京タワー(鬼門の塔、裏鬼門の塔、将門の塔、凌雲閣の悲劇、『作庭記』の予言、桔梗の塔)となっている。ライトアップに照らされるタワーの背後に興味深い謎が潜んでいるようだ。