化学素材メーカーの日東電工(大阪市北区、以下Nitto)は、自社の革新的なテクノロジーを一般にわかりやすく紹介するWEBサイト「Nitto Innovation Lab.」を2016年12月15日にリニューアルした。
医療から生活用品まで幅広く展開し、「グローバルニッチトップ戦略」を掲げる同社は、液晶パネル向け偏光板や透明導電性フィルム、自動車のボディパネルの補強シートなどで世界市場のトップを走る。15年の売上高研究開発費率は4.1%と業界平均を上回り、いわゆるブルーオーシャンに新製品を次々と投入してきた。
今回のリニューアルに併せて新作ムービー2 本が公開された。自社開発の技術を駆使して生まれた新製品を、あたかも理科の授業の実験みたいな形で紹介している。
水は通さないけど空気は通す
「TEMISH 通す・通さない」篇は、水は通さずに空気だけ通すミクロフィルター「TEMISH」(テミッシュ)の特性について表現する動画だ。
ホースが接続されたガラス容器。水を注ぎ、その縁に隙間なく接着剤を塗る。次に円形のTEMISHを貼り合わせて密閉した。そのまま逆さまにしたところ――水は一切漏れ出ない。一見するとTEMISHはペラペラの紙なのに!
今度はその容器を大きな水槽の中に沈め、ハンドポンプで空気を送り込み加圧する。その結果――TEMISHの表面から無数の気泡が放出された。フィルムで作られたチンアナゴがTEMISHの上で気泡とともにゆらゆら踊る。中の圧力を外部に逃がしているので、フタがはがれることはない。実験の様子を見ていた男の子は大興奮だ。
微細孔を持つ、フッ素樹脂でできた多孔質膜の総称であるTEMISHは、1平方cmあたり数億個という微細孔がある。水を防ぎたいけど空気は通したい、携帯電話や掃除機のフィルターなどに使われているという。