自らの体験を伝えることで人生を取り戻す-私は堂々と生きていく
著者は、自分の病を夫に話し、子ども達に伝え、友人達にも語るようになる。そして、迷った末に、多くの人々にレビー小体型認知症の実際を知ってもらおうと自らの体験を公表する。
「友人に病名を話した。そのままに受け入れてくれた。救われた。なぜもっと早く話さなかったんだろうと思った。怖かったんだと気づいた。何気ない一言で傷つくこと。関係が変わってしまうこと。この病気であることを自分の中で消化するにも時間がかかっていた」
「ずっと考えているのは、病気の公表。実名で顔を出して発言しなければ効果はないと分かっていて、迷っている。そのことで傷つく身内が出てはいけないと思う。私自身、怖れている。世間に公表して、いったいどんな言葉を投げつけられるのかと不安になっている。どうすればいいのかわからない」
「今、ごく親しい友人以外にも病気のことを伝え始めている。隠している限り、病気は巨大な怪物だが、一人に話すたびに小さくなり、みんなが知れば、それは、ネズミみたいなものになるような気がする」
「障害や傷を堂々と見せる人を美しいと思う。障害自体が障害なのではないと気付かされる。それを隠そうとする気持ち、そうさせる周囲の誤った理解や偏見が、障害だ。どんな病気だって、脳の病気だって同じだろう。(中略)実名を出すと決めた。決めた。扉を開くんだ」
著者は、「本当に必要な答えは、当事者や家族が持っている」と語る。
「病と共に生きる毎日の中で、どんなことにどんな風に困り、それをどうしたら乗り越えていけるのかは、体験している本人や家族にしかわからない。(中略)私は、臆することなく発言していけばいいのだと思う。同じ立場にある人達に希望を与えることができるはずだ」
今、著者は、健康と病の語りサイト(ディペックス・ジャパン運営)において、レビー小体型認知症について語るなど、同じ病になった人、そしてこれからなるであろう人のために、積極的に発信を続けている。
JOJO(厚生労働省)