「きよしこの夜」の奇跡と軌跡

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ラテン語でなくドイツ語で歌ったのがよかった

   史実ですから、ある程度本当なのですが、オーストリアの一寒村に過ぎない教会で、ハプニング的に作られたキャロルが、全世界のクリスマスナンバーになるには、あまりにも出来すぎている話のようにも思えます。

   背景には、クラシック音楽の母体となった教会音楽・・これらは、ラテン語で歌われていた、という背景がまずあります。現在でもミサ曲やカンタータでラテン語のものは多くありますが、地元の言葉であるドイツ語を使った、というのが「きよしこの夜」の成功要素の一つだったようです。難解であるが、有難そうな教会音楽ではなく、非常にシンプルで、わかりやすくて、そしてメロディーが綺麗・・・人々はクリスマスにそういった音楽を求めていたのです。

   その後、近郊の村まで広がった「きよしこの夜」は、これらオーストリアの片田舎の人々に、「この歌を広めよう」という情熱が芽生えさせ、上記の職人の子供たちのみならず、大人たちも交じって、「きよしこの夜アンサンブル」的なものがあちこちで組織され、国を出て、まずはドイツ語圏、そして、遠くアメリカまで、この歌を歌って知らしめた多くの人たちの尽力があったのです。

   音楽は人の心を動かす、とよく言いますが、「きよしこの夜」の世界への広がりを改めて検証してみると、本当に「音楽に動かされた人々」の姿が見えるような気がします。

   今年も、世界中のクリスマスで、この歌が聴かれることでしょう。

   そして、今年も、この曲に動かされる我々がいるはずです。

本田聖嗣

本田聖嗣プロフィール

私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でピルミ エ・ プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソ ロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目CDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラ マ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを 務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

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