「もっと自由でいいんだ」
最近号の雑誌連載の再録なので、様々なテーマの話題が順不同で登場する。3歳年上、ほぼ同世代の村上春樹さんについてはこんな具合だ。
「春樹さんがノーベル文学賞を欲しがっているとは思えない」
「私は例年、春樹さんの受賞に関しコメントを用意している。それもフルバージョンと、短縮版の2パターンがあり、毎年細かな修正を加える。こんなことがいつまで続くのだろうと思いながら、書いている」
ボブ・ディランの受賞にもページを割く。中高校時代、リアルタイムで聴いていただけに受賞が決まった夜は、何時間もビールを飲みながら彼の歌を聴いた。
「彼は、反体制的だと評されたが、最も素晴らしいのは『もっと自由でいいんだ』と世界中の若者にそう伝えたことだ」
村上さんは1952年、長崎生まれ。」武蔵野美術大学在学中の76年、『限りなく透明に近いブルー』で芥川賞を受賞。20代前半で作家デビューしてからもう40年になる。
「達観の境地にはほど遠い」「ずっと不安とともに生きてきた」「人生を変えるためには、膨大なエネルギーがいる」――各章の表題からも、「リュウらしさ」がにじむ新刊となっている。