『星に願いを、いつでも夢を』 村上龍さん、最新エッセイ集

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   ディズニーの名曲「星に願いを」。橋幸夫のヒット曲「いつでも夢を」。二つを合わせてタイトルにした『星に願いを、いつでも夢を』(KKベストセラーズ)が2016年11月22日に発売された。

   作家の村上龍さんの人気エッセイ『すべての男たちは消耗品である』シリーズの最新刊、15冊目に当たるという。

  • 『星に願いを、いつでも夢を』(KKベストセラーズ)
    『星に願いを、いつでも夢を』(KKベストセラーズ)
  • 『星に願いを、いつでも夢を』(KKベストセラーズ)

エリートの親からエリートの卵が育つ時代

   「夢」や「星」は、甘ったるくて村上さんに似つかわしくないと思う人も多いのでは。ちょっとセンスが古い、アナクロではないか・・・。本人も「『星に願いを』バカ言うな」と、批判を想定しながらあえて語る。

「今、あらゆるところで『夢』という言葉が氾濫している。それは『夢』が消滅しつつある証しだと思う」
「『夢』が消えつつある時代に、どうやって生きればいいのだろうか」
「本書は、まだそれら(「夢」や「願い」:編集部注)が実在した時代の曲名を、二つ組み合わせてタイトルにした。アイロニーではないし、ニヒリスティックになっているわけでもない。わたしは、現実を見ようとしているだけだ」

   かつて世界には活力があり、「夢」や「願い」をそれなりに実現させることができるチャンスがだれにもあった。いまや停滞した格差社会。エリートの親からエリートの卵が育ち、そうでない大半は置きざり。「底辺層の親を持つ子供は、充実した人生を歩むのが簡単ではない」と村上さん。そうした現実を目の当たりにするからこそ、「夢」や「願い」の様変わりぶりにこだわり、あえてタイトルに掲げた。『コインロッカー・ベイビーズ』や、『13歳のハローワーク』で社会と向きあってきた村上さんの実感なのだろう。

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