フィリップ モリス ジャパン合同会社(以下、PMJ)は2016年11月29日、スイスのNPO法人「EQUAL-SALARY Foundation(以下、ESF)」が認める男女間の賃金格差のない企業に認証されたとして、都内で「EQUAL-SALARY Certification」の授与式に出席した。日本企業では初の授与だ。
代表執行役社長や石原宏高・内閣府副大臣のあいさつ
ESFは2010年、ベロニク・ゴエ・フィンハウス氏がスイスに設立したNPO法人。国有企業または民間企業のうち、50人以上の従業員を擁し、かつ女性が10人以上を占める企業を対象に、男女間の賃金格差がないことを認証している。
認定プロセスは、①ジュネーブ大学の開発した手法に基づいた企業の給与データの統計分析と、②SGS(検査、検証、試験及び認証業界のグローバル企業)に委任した現地調査の2段階で構成されている。「男女間の賃金格差が5%未満であること」「経営陣が、男女同一賃金に対する企業としてのコミットメントを明示していること」など、認証の条件は全部で6つだったという。
PMJのポール・ライリー代表執行役社長はESFのフィンハウス代表から認証を授与された後、プレゼンテーションを行った。
「日本の男女の賃金格差の開きは約27%といわれる中、わが社が給与の平等を認証されたのは、日本にとって格差を埋める第1歩となる。今後もダイバーシティとインクルージョンの流れを加速させたい」
会場には男女共同参画・女性活躍担当の内閣府副大臣、石原宏高衆院議員も出席、
「安倍内閣は男女間の賃金格差の是正や均等な機会、処遇の確保は必要不可欠と認識している。安倍総理のイニシアチブで上場企業に対し、役員に1人は女性を登用するよう要請した結果、この4年間で女性役員数は2倍以上に増え、現在は1400人以上となっている」
などと語った。
D&Iマネージャー「無意識の偏見を排除するためのトレーニングを実施」
その後、PMJのダイバーシティ&インクルージョンマネージャーの岡本佐知子氏が、ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みや「Equal Salary Certification」取得の意義について説明した。
岡本氏によると、PMJの本社部門の女性比率は38%だが、営業現場部門では6%に留まっていた。だが2016年、同社はダイバーシティ&インクルージョン担当部署を設置し、採用の女性比率の向上に注力した。ウェブ採用広報の宣伝に力を入れたり、現役の女性社員と話せるセミナーを開催したりした結果、営業社員の新規採用における女性比率は2%から20%強へ上がったという。
厚生労働省の「2015年賃金構造基本統計調査」によると、日本では男性の賃金を100とすると、女性は72.2。88.0のスウェーデン、84.9のフランス、82.5のアメリカなどと比べ、男女の賃金格差は依然として大きい。
主な要因は「勤続年数」や「管理職比率」の差といわれており、「年齢」「学歴」「労働時間」「企業規模」なども挙げられる。だがそれらが同等となっても「説明のつかないギャップがある」と、岡本氏は言う。
「人事制度の運用における意識的・無意識的な偏見が関わっているのではないかと考えられています。当社では、無意識の偏見を排除するためのトレーニングを全社員に実施しております」
と語っていた。