世界の20億人以上はトイレを持っていない。多くの子どもたちが不衛生のため命を失う。国連は地球規模の深刻な問題として、3年前の2013年に11月19日を「世界トイレの日」と制定した。日本ではこれより早く30年前の1986年に「いいトイレ」の語呂合わせで11月10日を「トイレの日」としている。「トイレ掃除をすれば、金運が上がる」。そんな話もあるが、世界的には切実な課題だ。今回は、トイレにまつわる3冊を紹介した。
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サソリやヘビに命の危険も
「紙もない! 水もない!そもそもトイレがない!」。これに比べると、日本のトイレは世界の中で最も恵まれた環境といえるだろう。
『国際協力 トイレ修行学』(監・神馬征峰、文芸社、1080円)は、JICA(国際協力機構)や青年海外協力隊の人たちが体験した海外のトイレ事情を報告したものだ。
小石、ロープ、コップ、トウモロコシ、葉っぱ、木の幹。これらはいずれもお尻を拭いたり、洗ったりするために使われるモノ。「所変われば品変わる」というが、想像を超える。時にはサソリやヘビ、あるいはブタに命の危険を感じながら用を足さなくてはならない。「驚いた」「困った」羞恥心を捨てて書き残した貴重な記録とエッセイだ。