情報技術ツールをテコに行政のあり方を示した先端事例の数々

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市民参加のありようを具体的に提示

   原書の中にある「reinvent(全く新しく作り直す)」という言葉からは、1995年に邦訳がでた、「行政革命」(デビッド・オズボーン/デッド・ゲーブラー著 日本能率協会マネジメントセンター(原著「REINVENTING GOVERNMENT」(1992)))が想起される。この本は、当時全国的な「から出張」問題に端を発した、強い地方公務員批判の中で、こころある自治体職員の行革のバイブルとなった。三重県の行政改革を代表として、民間手法の導入などで、広汎で決定的な影響力を及ぼした。自治体の現場感覚・意識を踏まえつつ優れた業績をあげている、日本の代表的な行政学者の1人である、監訳者の稲継裕昭・早稲田大学教授は、本書「未来政府」が上記の「行政革命」に匹敵する、あるいはそれを超える本になりうるとして、翻訳の出版に努力してきたという。

   日本政府も、2013年10月から2014年6月まで、牛窪恵氏や古市憲寿氏などをメンバーとして、「国・行政のあり方に関する懇談会」(内閣官房行政改革推進本部事務局)を開催し、「参加なくして未来なしー日本が生まれ変わるための希望の17条―」を公表している。そこで重視された視点には、「全員がプレーヤーの時代」、「公共を『他人ごと』から「自分ごと」へ」といった『未来政府』の発想が通奏低音のように流れていたが、残念ながら具体的なイメージまでは提示できなかった。この『未来政府』は、市民参加のありようを具体的に示している。この希望に満ちた、豊富な具体例を胸に、我々も前進したいものだ。

経済官庁 AK

【霞ヶ関官僚が読む本】現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で「本や資料をどう読むか」「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。

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