東京五輪では「水の神様」を頼りにしない
リオ五輪の銅メダルは、4位とわずか0.13秒差のすべりこみ。「水の神様がほほえんでくれたと思った」と羽根田選手。だが東京五輪では「水の神様」を頼りにはしない。2位とは2.42秒差、1位とは3.27秒差。4年後の大会までには、それらの差を「縮められる」と宣言した。
今回の銅メダルと、それまで武者修行のようなトレーニングをこなしてきた経験が自信の裏付けだ。
カヌーを始めたのは10歳の時。父親・邦彦さんがカヌーの選手で、その影響から、器械体操から転じて取り組むようになった。だが、やってはみたものの「つらい場面が多くなかなか好きになれなかった」という。「つらい場面」とはカヌー競技を行う激流に対する恐怖感。中学生の時に富山県内の「流れの激しいコース」で練習を続け、これを克服し、以来「のめり込むようになった」
中学、高校とも地元の豊田市内で進学。この間、ジュニア日本選手権、日本選手権で優勝し、高校卒業後はカヌーを究めるためスロバキアに渡りコメニウス大学に入学し、同国を拠点とした競技者生活を続けている。
羽根田選手が行っているスラローム競技では、五輪をはじめ世界選手権、ワールドカップなど主要国際大会が、流れを仕掛けによりつくる人工コースで行われる。ところが人工コースは日本にはなく、同競技で世界を舞台に戦うためには国外に拠点を求めることは、羽根田選手にとっては当然の進路といえた。
来季に向けて11月からは東京でトレーニングに集中。年明けにスロバキアに向かい練習を重ね、4月の日本選手権で連覇記録を伸ばすことから母国での五輪に向けスタートを切る。