ブラジルで2016年8月、約2週間にわたって行われたリオデジャネイロオリンピック・パラリンピックではさまざまなヒーロー、ヒロインが生まれたが、なかでも、日本カヌー界に初のメダルをもたらした羽根田卓也選手(29、ミキハウス)は、もっともブレイクしたアスリートの一人だろう。昨年までは「あまり一般的ではないスポーツの、ほぼ無名の選手」。だが、その羽根田選手のことをマツコ・デラックスさんがテレビ番組で紹介、注目が集まるなかメダルを獲得して、一気に2020年の東京五輪での期待の星として輝くことになった。
都内のパレード終えJ-CASTがインタビュー
カヌーの「スラローム男子カナディアンシングル」で銅メダルを手にした羽根田選手。10月7日に東京都内で行われたオリンピック・パラリンピック日本代表選手団合同パレードに参加し五輪関連の主な公式行事をほぼ終え、その数日後、実家がある愛知県豊田市に向かった。年内は故郷と東京でトレーニングして過ごすという。その出発前にJ-CASTニュースのインタビューに答えた。
カヌー選手としての生活拠点は、豊田市の杜若(とじゃく)高校卒業後に単身で渡った欧州中部のスロバキア。同国はカヌー強豪国で練習環境が整っているという。首都ブラチスラバにあるコメニウス大学体育学部で学んで大学院に進み、今年、修士課程を修了した。「行った当初はスロバキア語のスの字も分からなかった」が、カヌーの実力ともども語学力も大幅な進歩を遂げた。
スロバキアでメダルを争える実力を養いのぞんだリオは3度目の五輪。「(メダル獲得の)自信はあまりなかった。とれるかもしれないとは思っていた」という。最初の北京(08年)は予選敗退、2度目のロンドン(12年)で7位入賞した。その後、14年には世界選手権で5位、アジア競技大会で優勝、16年には五輪前哨戦のワールドカップで3位など国際大会で安定した力を発揮するようになっていた。