格安スマホ市場が活発になる中、ソフトバンクのサブブランド「ワイモバイル」の業績が好調だ。2015年3月から一年間で、契約販売台数は2.6倍に増加。料金プランの安さだけでなく、定額通話の導入、iPhone5sをはじめとする端末の充実、販売店舗数の多さなど、利用者がより安心して使えるサービスを充実させている点が支持されているようだ。
実店舗4000店、高品質端末の充実、定額通話など強みたくさん
総務省の発表によると、SIMカードや格安スマホを扱うMVNO(仮想移動体通信事業者)の数は14年の172社から1年で210社まで増えた。短期間で事業参入が拡大した背景には、総務省が「通信の自由化」を進め、携帯電話市場の競争活性化を促していることがある。
MVNO各社は通信大手3社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)から通信回線を借りることでサービスを展開している。総務省は16年9月、通信大手3社による格安スマホ事業者への通信回線貸出料を引き下げる方針を発表した。貸出料を下げることでMVNO各社の通信料金が安くなると予想され、今後さらに格安スマホ利用者が増加するとみられる。
そんな中、ワイモバイルは販売数が16年3月時点で前年度比約260%と増加し、着実に業績を伸ばしている。テレビCMなどで「月々1980円」のプランを始めとするお得な料金体系を強調しているが、人気の理由は安さだけではない。
格安スマホブランドの多くは実店舗を持たないネット契約が主流だが、ワイモバイルは全国に4000店舗以上を構えている。これによりサポート体制を強化し、ITリテラシーが高くない購入層の「店舗でスタッフと対面して利用したい」というニーズを満たしている。
また「格安スマホ端末」の品質に不安を抱く声が少なからずあるなか、ワイモバイルは米Apple社製「iPhone5s」を始めとする高品質な端末の充実に力を入れている。iPhone5sは13年に発売された2世代前のモデルだが、その使いやすさから現在も根強い人気を誇る。通信大手が提供している高価格帯の最新機種に比べて安価で購入、契約できるという点が支持され、16年3月の発売導入から急激に売り上げを伸ばした。ほかにもGoogle社のスマホブランド「Android One(アンドロイドワン)」の端末を日本で初投入するなど、人気端末の導入を進めている。
また、1回10分以内の電話を月300回まで通話料無料にする定額通話も提供するなど、ユーザーがより安心して快適なスマホライフを送れるよう様々なサービスを取り入れている。