海産魚介類への放射性物質の影響は?
福島県沖の海域は、親潮と黒潮がぶつかる「潮目(しおめ)の海」と呼ばれる豊かな漁場だ。そこで獲れる海産物は「常磐もの」と称され、東京の築地市場などで高い評価を受けてきたという。
福島第一原子力発電所事故で、福島の「常磐もの」の出荷量は激減した。5年以上経過した現在も、福島県の沿岸漁業は本操業が自粛されている。いまは試験操業の過程にある。
県では11年4月から魚介類のモニタリング調査を行っている。その結果、15年4月以降に基準値を超えた海産魚介類はなく、同年7月以降、90%以上が不検出で推移している。低いながらも数値が出る魚種は限定的で、16年7月20日現在、出荷制限等の指示を受けているのは21種まで減った。「常磐もの」のシンボルであるヒラメの出荷制限等指示も今年6月9日に解除された。海水の放射性セシウム濃度は時間の経過とともに速やかに低下し、海底土の放射性物質、餌料生物の放射性セシウム濃度もおおむね低下傾向にある。
トークセッション1部では試験操業に取り組む漁師3人が登壇した。いわき市漁業協同組合の鈴木二三男さん、同鈴木健さん、吉田康男さんはみな親の背中を見てこの世界に入った。漁のペースは徐々に増えているものの、底びき網漁業などでは、せっかく獲った魚を捨てなくてはいけないこともあり、「食べたらおいしいのに...」と感じる瞬間がつらいという。3人の中で最も若い39歳の鈴木健さんは、「(父親が)少しずつ任せてくれるようになり、覚えるのにいいチャンスと考えている」と前向きに語った。