炎天下が続くこの時期、毎年深刻な問題となっているのが「熱中症」だ。2015年8月に全国で熱中症により救急搬送された者のうち、約半数を高齢者が占めた(総務省消防庁調べ)。また同年6~9月に東京消防庁管内で熱中症により救急搬送された65歳以上のうち、約60%は「住宅等居住場所」から救急要請を行った。
昭和大学医学部救急医学科の三宅康史教授は、「周囲の暑さに気づきづらい高齢者だからこそ、室内熱中症に要注意」と警告している。
「気温の感じ方が鈍くなっている」を実感するシニア世代
「(高齢者は)エアコンを使うことに抵抗があり、いつのまにか熱中症の症状が出ている...というケースが見受けられます」
「高齢者の体内には水分量が少なく脱水症状に陥りやすいという側面や、糖尿病や高血圧などの持病があると熱中症の症状が出にくくなるという弊害もあり、若者よりも注意が必要です」
トレンド総研が16年7月14日に発表した「シニアの『室内熱中症』対策に関する調査」も、三宅教授の見解を裏付ける。アンケートに協力した60~70代の男女250人のうち、41%は「年齢が上がるにつれ、気温の感じ方が鈍くなっていると思う」と回答した。
高齢者本人が暑さに気づきにくくなっているなら、周囲が見守ってあげなくてはいけないが――。離れて暮らす子や孫世代はどうすればいいのか。