かなりアスリート的傾向を持っていたベートーヴェンの「ベト散歩」から生まれた「田園」

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

スマホ歩きはせずに怖い顔をしてずかずかと

   数々の革新的な曲を作りだして、クラシック音楽の転換点となったベートーヴェンですが、有名な第5交響曲・・・いわゆる「運命交響曲」の後に作ったのが、第6交響曲「田園」です。それまでは通常4楽章で1つの交響曲となるところ、この曲は5楽章からなる構成で、それだけでも斬新です。彼は自作に表題をつけることを好みませんでしたが、この曲は、「シンフォニア・パストレッラ」、つまり田園交響曲と全体的なタイトルがつけられ、各楽章にも「小川の辺の情景」とか「雷雨、嵐」などの表題が書き込まれています。都会ウィーンからひたすら歩き続けて田園や森林を歩き回り、休暇時には、田舎での生活を好んだベートーヴェンは、いつしか、その情景を自分なりに音楽にしようと企んだのです。

   しかし、ここでもベートーヴェンは、安易に妥協はしませんでした。というのも、当時、ウィーンなどでは、風景を単純に音で描写する表題音楽が流行していたのです。ベートーヴェンはそういった「箱庭的音楽」を作るつもりは毛頭なく、この曲は、あくまで「絵画的描写ではなく、そのような景色の中の人間が感じる感情の表出としての音楽」だと断り書きをしています。「田園交響曲」は、散歩をしながら楽しく作った曲ではなく、常に音楽の新たな表現に挑戦するベートーヴェンが、「ファイティング・ポーズ」で歩きながら構想を練った曲だといえましょう。

   創造性の塊のような人間だったベートーヴェンは、現代に暮らしていたら、スマホのゲーム画面などを見ながらぼーっと歩くことなどはせず、怖い顔をして、ひたすら作曲をしながらずかずかと歩いているかもしれませんね。

本田聖嗣

本田聖嗣プロフィール

私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でピルミ エ・ プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソ ロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目CDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラ マ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを 務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

姉妹サイト