医療保険制度の抜本改革を提案
終章では、中医協について、これまでの議論の前提であった右肩上がりの社会が終わり、それを前提にして形成されてきた医療保険制度に機能不全が見られるようになったとし、医療保険制度の直面する課題や今後の改革の方向性について、森田氏の私見が開陳される。財源の制約の下、質の低下を招かずに、医療費の膨張を抑える、費用対効果評価の導入、人口減少・長寿化の下では、いわゆる、家庭医制度の導入など、抜本改革を模索すべきとする。また、中医協の議論については、可能な限り客観的なエビデンスを集めて、不確実性の範囲を極小化していくことを目指すべきという。さらに、「エビデンスに基づく医療」を推進するため、番号制度を活用した医療情報の蓄積も進めるべきという。
行政学の碩学、森田氏の長年の「会議」研究の成果を味わえるお勧めの1冊となった。
経済官庁 AK