若冲サマもお出ましだ...「隠れた名作」ずらり 「大妖怪展」は日本美術展としてもすごいぞ!

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江戸の絵師も大活躍

   中世に生まれた妖怪や幽霊たちは、江戸期に入って大増殖した。掛け幅に描かれ、歌舞伎などでも大役を与えられる。「ゲテモノ」「見世物」「怪奇もの」としていわば「市民権」を得た。今回はそんな江戸期の出品物が際立つ。

   たとえば若冲の「付喪神図」(つくもがみず)。古い土蔵に眠る年代物の茶道具などに、いつのまにか神が宿る様子を描いたものだ。古民具類が極端にデフォルメされ、眼や鼻が付くなど擬人化されている。見慣れた若冲の細密絵画とは全く異なる寓話の世界だ。フランドルの画家ヒエロニムス・ボスの幻想画や、20世紀のシュールレアリズム、CGアニメ「機関車トーマス」などともどこかイメージが重なる。若冲ワールドの多彩ぶりを改めて知ることができる逸品だ。

   このほか、北斎「狐狸図」「百物語 お岩さん」、歌麿「化物の夢」など、日本美術史に燦然と輝く大家たちの「裏メニュー」作品が並ぶ。当時の一流の絵師は、美人画を手掛ける一方で、こぞって「妖怪」にも挑んでいたことがわかる。

   なかでも歌川国芳の「相馬の古内裏」は強烈だ。美術史家の辻惟雄氏によって、若冲と共に「奇想の画家」として再評価された国芳だが、ろっ骨をむき出しにした巨大な骸骨が襲い掛かってくる大胆な構図にはド肝を抜かれる。その国芳の弟子で、幕末から明治期に活躍し、最後の浮世絵師とも言われた月岡芳年も見逃せない。「残酷画」で人気を博したというだけあって、おどろおどろしさは格別だ。

   今回の展覧会は、ただ国宝・ 重文をはじめとする一級品美術を展示するだけではない。壁にはハイテクを使った巨大妖怪の映像なども仕掛けられ、突然それらが動き出したりする。会場自体が、巨大な「びっくり箱」「ワンダーランド」となっている。「妖怪ウォッチ」が特集された展示室もあり、夏休みに親子連れて楽しめるイベントともなっている。

    展覧会は8月28日まで。公開期間が限られた作品が多いので、事前にホームページなどで確認しておきたい。

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