ホンダの販売店、南関東Honda Cars(ホンダカーズ)は「自動車ある生活の楽しさ」を伝えるウェブ動画「しじょうじょし」を2016年6月20日に公開した。運免許取りたての女子高生がホンダカーズの新車ディーラーショールームを訪れ、試乗体験をする様子を撮影したものだ。
「免許取りたて」「女子高生」「試乗」というワードに、平仮名のタイトル。「あぁ、きっと華やかな新米ドライバーが初々しい様子でホンダのクルマの性能を紹介するゆるふわ入門動画なんだろうな」と想像する。ところが動画を再生すると、そこには助手席の同乗者にとっては阿鼻叫喚のスピード地獄が映し出された。
オープンカーで向かった"まさかの場所"
とあるホンダのショールームを訪れたのは、ロングヘアをひっつめ髪にした制服姿の女子高生。彼女が試乗を希望したのは、軽のオープンカーだった。もろもろの手続きを行ったあと、女子高生は車体に初心者マークをつけ、営業スタッフを助手席に乗せて公道へと繰り出した。
「免許とってどれくらいなんですか?」
「18歳になった時なんで、全然まだ経ってないです...」
車内でスタッフと和やかに会話を交わしながら、女子高生が向かった先は海を見渡せる眺めのよい丘――ではなくサーキットだった。
何のためらいもなくサーキットに乗り入れた女子高生。戸惑うスタッフをよそに、彼女はシフトレバーに手をかけ走り出すと、素早い動作でシフトアップ。障害物を鮮やかに避けるスラローム走行を始め、サーキットで実践を積んだ人でないと難しいドライブテクニックを鮮やかなハンドルさばきと共に次々と披露する。車内の強烈な遠心力にスタッフは悶絶。はちきれんばかりの笑顔で運転する女子高生の横に、引きつった表情を浮かべる男性が座っている画はとてもシュールだ。
女子高生の正体は現役レーシングドライバー
実は彼女が試乗したHonda S660は、スポーツカーなどの高性能車種に採用される6速のマニュアルトランスミッション搭載車。排気量660ccのターボエンジンを積み、軽自動車ながらスポーツ走行も可能な性能を備えたモデルだ。そして女子高生の正体は、6歳の時からモータースポーツ活動を続けている現役レーシングドライバー・小山美姫(みき)さん。運転免許は"取りたて"だが、運転経験はすでに10年以上。2015年には南青山グランドツアラーが展開する若手ドライバー支援「miNamiao Yama Project」のオーディションに合格し、11月4日に行われた国際自動車連盟(FIA)主催のレース、フォーミュラー4(F4)でドライバーデビューした。
激しい運転の末に、ドリフトを思わせるターンでS660をビシッと停止させた小山さんは
「これイイっすね」
と満足げに一言。ちなみに撮影で使用したS660はパワーアップやチューニングを施していない市販のノーマル車両で、すべてのドライビングを小山さんが担当し、特撮なしの一発撮りだったという。