ジャズとはノスタルジーだといったのは寺山修司だっただろうか。それとも村上春樹か。ひさしぶりにCDショップをのぞいたら、ジャズの廉価版があふれているのに驚いた。
そのむかし、LPレコード一枚2000円以上した名盤が1000円程度で並んでいる。ついノスタルジックな気分になって、あれこれ漁ってみた。
とりあえず買っておきたい
中でも、これはお買い得と思ったのは、「Round About Miles Davis(タワーレコード限定)」。モダンジャズの頂点に君臨し、圧倒的な人気を誇ったトランぺッター、マイルス・デイビス(1926~1991)の名演奏を集めた3枚組だ。これが何と1200円(税抜)というから驚きだ。2016年5月25日に発売されたばかり。
1枚目のCDには「Round Midnight」「So What」「Oleo」など12曲。2枚目のCDには「Autumn Leaves」「My Funny Valentine」「Bags' Groove, take 1」など11曲。3枚目は「Bye Bye Blackbird」「Milestones」など10曲の全33曲。「マイルス・デイヴィス生誕90周年! タワレコ企画・選曲による至高のマイルス・コンピレーション」だという。
数々の傑作アルバムの中から、50年代のハード・バップ期から60年代初頭のモード・ジャズ期の名演が選りすぐられている。音源はプレスティッジ、コロムビア、ブルーノートなど。モダンジャズの世界を切り開いたマイルスの魅力満載だ。何枚ものLPに分散していた歴史的名演が3枚組にまとめられ、全盛期の音色を存分に楽しめる。しかもこの値段で聴けるのだからありがたい。ファンでなくても、とりあえず買っておく価値は十分ある。