日本の最長寿演芸バラエティ番組「笑点」が放送50周年を迎え、スタート当時から出演していた司会の桂歌丸さんが勇退、新司会者に春風亭昇太さん、そして2代目林家三平さんが新たにメンバーに加わるなど連日話題になっている。落語協会によると、毎年6月の第1月曜日は「寄席の日」で、今年は6日がその日。東京都内の演芸場などでは入場料が半額になるなどのサービスが行われている。当コーナーでは「笑点」50周年で"時の人"になった歌丸さんの半生記本や若手落語家インタビューなど、落語にまつわる3冊をご紹介。
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破門事件の真相、談志・先代円楽との交流秘話
「噺家生活64年、笑点レギュラー50年 小さいころから、とにかく落語が好きでした。落語家になりたくて、小学校四年頃には、ほかに何も考えられなくなり、自分の進む道は落語家しかないと決めていました。(中略)落語家になると言ったら、おばあちゃんに三日三晩泣かれました。それほど一途に思い込んでいたんです。やがて思い出が叶い黒門町・今輔師匠に伺ったのは十五の秋でした。それから今日まで噺家生活も六十四年になりました」。
2006年6月に「うなぎ書房」より刊行された『極上 歌丸ばなし』を加筆修正して文庫化された『歌丸 極上人生』(著・桂歌丸 970円、祥伝社)。日本テレビ系の大人気番組「笑点」の五代目司会者を勇退した桂歌丸さんの花街で育った生い立ちをはじめ、自らの若かりし日の破門事件の真相や笑点メンバーとのエピソード、故立川談志さん、故先代三遊亭円楽さんとの交流秘話などが語られている。
この時代に「落語」はどんな意味をもつのか?
1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日、生の高座に接し、自ら落語会のプロデュースも手掛けるという洋楽のヘヴィメタル専門月刊誌「BURRN!」の編集長で、落語評論家でもある広瀬和生さんの著書『柳家三三、春風亭一之輔、桃月庵白酒、三遊亭兼好、三遊亭白鳥 「落語家」という生き方』(著・広瀬和生、1836円、講談社)。
東京都世田谷区の北沢タウンホールで2012年7月~13年7月、14年3月~15年10月の間、ほぼ月に1度行われた落語会「この落語家を聴け!」で、人気落語家5人を相手に行ったインタビューをまとめたもの。下積み時代、師匠への思い、人間関係、ブレイクのきっかけや落語家としての苦しみ・楽しみなど貴重な本音トークが満載。
実際にその高座を聞いて人でなければわからないような質問から、ほかではなかなか聞き出せないディープな話が展開している。
落語を深く知れば、人生がもっと楽に、楽しくなる?!
「"おい、手は大丈夫か?"『厩火事(うまやかじ)』の噺に出てくるセリフです。大切な茶碗を割ってしまった女房に、夫がかける優しい一言。世の中ギスギスしていますが、こんな器量を持ちましょうよ(とはいえこの噺には、あとでオチがつきますが...)」。
家族に感謝したくなったとき、人間関係に困ったときなど、自分の気持ちや悩みを落語のセリフや場面に照らし合わせてみると、共感したり励まされることもしばしば。『人生の醍醐味を落語で味わう』(著・童門冬ニ、1620円、PHP研究所)では、夫婦の関係は「厩火事」、部下を持ったら「花見酒」、仕事に失敗したら「素人鰻」など人情味あふれる噺を例に童門流"落語的生き方のすすめ"を学ぶことができる。
「困った人付き合いに効く落語の一言」「イヤな仕事を楽しむ落語の知恵」「家族の人情を描く落語の名場面」「憧れる?呆れ返る?落語的生き方のすすめ」の全4章。