「古典的」なフォルム...「マーラー節」も人気薄く
というのも、それまでの彼の交響曲は、「時間のある時に書き足してゆく」という作曲法のゆえか、はたまた、声楽の歌曲と同じような物語を背景に作られることが多いせいか、交響詩に近い自由な形式で書かれていて、(現実に 第1番はもとは交響詩として作曲されていました)冗長だという批判を受けていたのです。
批判は演奏でも作曲においても気にしないマーラーですが、第6番は、古典的交響曲の形式に寄せて、書いた様子があります。それでも全体では80分かかる大作ですし、カウベルやハンマーなど、独創的な打楽器が出てくるところが「マーラー節(ぶし)」、なのではありますが...。その「古典的」なフォルムのせいか、マーラーの交響曲の中では、比較的人気がありません。
そして、この曲はタイトルと正反対に、彼のキャリアも充実し、私生活も幸せな絶頂期に書かれているのですが、曲を完成した後、彼には、さまざまな不幸が降りかかるのです。マーラー自身が「この曲は、聴くものに謎を投げかけるだろう」と言ったそうなのですが、後世のわれわれから見ると、この交響曲は不気味な予言...とも解釈できてしまうのです。
本田聖嗣