"幸せ絶頂期"の作品、マーラー「悲劇的」 完成後さまざま不幸が降りかかり...

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「指揮者の余技」の交響曲も...独自のこだわり

   彼は、41歳の時、画家の娘にして幼いころから芸術の才能を発揮していた美貌の女性、アルマ・シントラーと結婚します。ウィーンで着々と地位を築き、私生活も人もうらやむような幸福につつまれている...そんなマーラー44歳の時に、交響曲第6番「悲劇的」は書かれています。

   マーラーは、あまりにも指揮者としての活動が華々しく、かつ、多忙であったため、周囲から彼の交響曲は「指揮者の余技」とみられていました。現実的に、夏の休暇期間ぐらいしか、集中的に作曲に取り掛かれなかったのも事実です。

   しかし、彼は若いころから、管弦楽伴奏による歌曲や交響曲を精力的に作り続けていました。声楽にとくにこだわりがあったため、交響曲 第1番は同時期に作曲された歌曲集と旋律などが共有され関連が深く、第2番から4番までは、すべて独唱や合唱といった声楽入りの交響曲となっています。第5番から、管弦楽だけの交響曲にもどりますが、第6番「悲劇的」は特に、古典的なフォルムに回帰しようとした節が見られます。

本田聖嗣プロフィール
私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でフプルミエ・プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目のCDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラマ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

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