自らの"表現"のため応じたインタビュー?
燕尾服の白髪長身の男性が優しく会釈する。このひとがあの、「濡れるんです」の作家?
なぜ、官能小説を書いたかなどの内容は本をお読みいただくとして、インタビューは「みなさんがお見えになりました」という作家の声で幕が引かれる。社交ダンスパーティーの参加者がドレスやスーツで次々とやって来た。
このインタビューは読んだ人に様々な想像をめぐらせてくれるだろう。インタビュー自体、作家が仕掛けた表現、作品だったようにも思える。インタビューは作家から、この日の午後2時の時間を指定してきた。夕方には社交ダンスパーティーは設営されていた。その光景を平松に見せたかったのではないか。写真のないインタビューは、想像を掻き立てる。