事件記者魂がうずいた
『国会前練習帳』の著者、白井健さんは1946年生まれの元朝日新聞記者だ。初任地の群馬では「大久保清連続殺人事件」や「連合赤軍事件」、東京の社会部では警視庁で殺人事件などを担当した。
安保法案には反対だったことや、マスコミで「SEALDs」の活動などが派手に報じられたことに刺激を受けて国会前集会に顔を出すようになった。「現場」の熱気に昔の事件記者魂がうずいたのかもしれない。連日通ってブログで「報告」を書く。海外に住む友人からも「読んでいる」と反響があった。
本書は昨年8月から9月20日までの、そのブログをまとめたものだ。「練習帳」というタイトルが示すように、「役立つ国会周辺マップ」や「私のデモスタイル」などというイラストも掲載され、初めて国会前集会やデモに行く人のガイドブックにもなるように工夫されている。
『シニア左翼』はクールな観察者の分析、『国会前練習帳』は実際に参加したシニアの熱気あふれる体験的現場リポートだ。ともに筆者は熟年・シニア世代。「あの夏」をプレイバックする貴重な記録であり、ますます高齢化が進む日本のこれからの市民運動を考えるうえでも参考になりそうだ。