そもそも交響曲とはいかなる存在か? 格調高い"響き"がつくろう曖昧さ

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現代では「作曲家が『交響曲』と名付けたら交響曲」に...

   以後、交響曲は、4楽章形式や、ソナタ形式といった規則をゆるく保持しつつ、「交響詩」などというサブジャンルも生み出し、数多くの作曲家によって作曲されます。しかし、近代になればなるほど、規則はあいまいで、ただ「その作曲家を代表するオーケストラの大規模な曲」という意味程度しかなくなっているのに、作曲家が「交響曲」と名付ける場合も多く、古典派時点での定義は、完全に役に立たなくなっています。

   つまり現代では、「作曲家が『交響曲』と名付けたら交響曲」というまことにいい加減なジャンル名でしかなく、「オペラ」や「協奏曲」といった、現代でも十分に昔の定義が当てはまるジャンルからすると、「交響曲」は、はるかに曖昧な定義づけしか持っていません。

    そんな適当な「交響曲」が、クラシック音楽の代表分野として、特に日本では、大きな顔をしているわけです。まことに滑稽な事態ですが、それが、長い歴史の結果なのです。

本田聖嗣

本田聖嗣プロフィール
私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でフプルミエ・プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目のCDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラマ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

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