現代では「作曲家が『交響曲』と名付けたら交響曲」に...
以後、交響曲は、4楽章形式や、ソナタ形式といった規則をゆるく保持しつつ、「交響詩」などというサブジャンルも生み出し、数多くの作曲家によって作曲されます。しかし、近代になればなるほど、規則はあいまいで、ただ「その作曲家を代表するオーケストラの大規模な曲」という意味程度しかなくなっているのに、作曲家が「交響曲」と名付ける場合も多く、古典派時点での定義は、完全に役に立たなくなっています。
つまり現代では、「作曲家が『交響曲』と名付けたら交響曲」というまことにいい加減なジャンル名でしかなく、「オペラ」や「協奏曲」といった、現代でも十分に昔の定義が当てはまるジャンルからすると、「交響曲」は、はるかに曖昧な定義づけしか持っていません。
そんな適当な「交響曲」が、クラシック音楽の代表分野として、特に日本では、大きな顔をしているわけです。まことに滑稽な事態ですが、それが、長い歴史の結果なのです。
本田聖嗣