人間が異常気象を引き起こす
真夏に雹(ひょう)が降り、突然の豪雨が襲う。猛暑記録は更新するばかり。昨今は温暖化のためか、毎年のように「異常気象」に見舞われる。この気候変動はどこまで続くのか。人類史の観点からみれば、人間と自然は様々な影響を与え合っている。
『異常気象で読み解く現代史』(著・田家康、1944円、日本経済新聞出版社)は、気候変動と人類をテーマにしたシリーズ4作目。前3作は気候に対し人間は受け身で、受難にどう対処したかに主眼がおかれていた。今回は逆に人間の活動が自然環境に影響を与え、異常気象を引き起こすことがあるという視点に立っている。
目次には「毛沢東が起こした大飢饉――大躍進政策」「『核の冬』という破局的な異常気象――米ソの軍拡競争」「平成のコメ騒動――1993年冷夏」といったタイトルが並び、綿密なデータと豊富な文献資料をもとに興味深く紹介している。著者は農林中央金庫のサラリーマン時代、40代で気象予報士試験に合格した。