ミレーの代表作や「腰巻事件」の裸体画も 生誕150年「黒田清輝展」...見どころ多いぞ!

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   「読書」や「湖畔」など、よく知られた作品だけではない。教科書には載っていない、何かと物議をかもした「裸体画」もいくつか。さらにはジャン=フランソワ・ミレーの代表作も――東京国立博物館(東京都台東区上野公園)で2016年5月15日まで開催している特別展「生誕150年 黒田清輝─日本近代絵画の巨匠」は見どころの多い展覧会だ。

  • 重要文化財「智・感・情」黒田清輝 東京国立博物館蔵
    重要文化財「智・感・情」黒田清輝 東京国立博物館蔵
  • 「野辺」黒田清輝 ポーラ美術館(ポーラ・コレクション)蔵
    「野辺」黒田清輝 ポーラ美術館(ポーラ・コレクション)蔵
  • 「羊飼いの少女」ジャン=フランソワ・ミレー オルセー美術館蔵 ⒸRMN-Grand Palais (musée d’Orsay)/Michel Urtado/distributed by AMF
    「羊飼いの少女」ジャン=フランソワ・ミレー オルセー美術館蔵 ⒸRMN-Grand Palais (musée d’Orsay)/Michel Urtado/distributed by AMF
  • 「フロレアル(花月)」ラファエル・コラン オルセー美術館蔵(アラス美術館寄託)ⒸRMN-Grand Palais (musée d’Orsay)/Hervé Lewandowski/distributed by AMF
    「フロレアル(花月)」ラファエル・コラン オルセー美術館蔵(アラス美術館寄託)ⒸRMN-Grand Palais (musée d’Orsay)/Hervé Lewandowski/distributed by AMF
  • 重要文化財「智・感・情」黒田清輝 東京国立博物館蔵
  • 「野辺」黒田清輝 ポーラ美術館(ポーラ・コレクション)蔵
  • 「羊飼いの少女」ジャン=フランソワ・ミレー オルセー美術館蔵 ⒸRMN-Grand Palais (musée d’Orsay)/Michel Urtado/distributed by AMF
  • 「フロレアル(花月)」ラファエル・コラン オルセー美術館蔵(アラス美術館寄託)ⒸRMN-Grand Palais (musée d’Orsay)/Hervé Lewandowski/distributed by AMF

「教科書」からはみ出た作品も

   同展のキャッチコピーのひとつは、「教科書でみた。でも、それだけじゃない。」

   ちょっと気を持たせる思わせぶりなフレーズ。「それだけじゃない」ことのひとつに「裸体画」の展示があるだろう。

   フランスで洋画を学んだ黒田が日本に持ち帰ってきたものに「裸体画」があった。ところが当時まだ日本では「裸体画」を芸術として受け入れる土壌がなかった。すでにフランスの展覧会で入選し高い評価を得ている作品でさえ、日本で改めて展示すると、論議になった。だから黒田が新たに日本で描いた全裸の婦人像「裸体婦人像」(1901年)はもっと物議をかもした。警察にとがめられ、公開の時は絵の下半身に布を巻くことを強いられた。これは芸術か、猥褻か――「腰巻事件」として騒動にもなった。

    「俺は自由がほしい」とぼやきながらも、黒田はめげずに「裸体」に挑戦した。今回の回顧展では「裸体婦人像」のほか、「智・感・情」(1899年)や「野辺」(1907年)などが公開されている。「智・感・情」は今や重要文化財になっている。時代の常識を問い、「教科書」の枠内では収まりきらなかった黒田の逞しさ、先見性が感じ取れる。

姉妹サイト