今後の一層の知的作業に期待
社会問題の長期の視点に立ったよりよい解決に向けて、本書が提案するフューチャー・デザインというアイデアには、人を惹きつける魅力がある。他方、そのアイデアを実践に移すには整理すべき課題がなお多い。本評で指摘した論点の考察を進めることで、アイデアは実践に向けて近づくことができるのではないか。そして、今後は個別の問題の解決に貢献した実例を積み上げることで、一般の関心と支持を獲得することが必要であろう。小回りの利く、まちづくり・地方行政の分野で実験的な取組を進めることがひとつの手掛かりになるのではないか。実社会で直ちに応用することの難しい課題であれば、教室や市井での実験を通じて知見を得ることが有益であろう。関係者による今後一層の知的作業に期待するものである。
経済官庁(課長級)Repugnant Conclusion